このブログのアクセス解析を見ていると定常的に「浴油祈祷」のページへのアクセスが多いのです。この浴油祈祷は待乳山聖天で大聖天様に「浴油」と言って香油を掛けて内から湧く煩悩を洗い流す供養方法があるのですが、この浴油の時に御札やお守りにご祈祷をして頂き、原則7日後に結願となって手元に引き渡されます。所願などは自由に掛けますし、7日後に引き取りに行けなければ郵送をお願いすることもできます。御札の場合、狭い我が家では貼る場所もないので、昨年はお守りで祈祷のお願いをしました。
 で、それから一年以上が過ぎ、そろそろ新しいお守りに帰る時期だよな…と思いつつ、なかなか今戸まで脚が伸びなかったのです。が、鬱病の減薬の影響で、土曜日に少しメンタルがボロボロになりかけた事もあって、日曜日の朝、ちょっと久しぶりの待乳山聖天と合わせて今戸神社へと向かおう!と決断しました。
 半蔵門線から銀座線に乗り換え浅草へ。と思ったのですが、末広町に着いたところで「あ、下谷神社にもお詣りだ!」と稲荷町で下車。ここで下谷神社へまっしぐら。と考えていたら、いつも目に入っていながらお詣りしていなかったお寺に目が。成就院さんです。「ん、聞いたことあるぞ」と思い、寺号の脇に書かれた御府内八十八ヶ所の文字で「あ、ここだったのかぁ!」と早速の寄り道。山門から見ると小さなお寺かと思っていたのですが、境内に入ると意外に懐の深い設えになっています。ご本堂の前にある弘法大師像に手を合わせ、その隣にある大師堂でもご宝号を唱えて本堂へ。そして寺務所のインターフォンを鳴らすと奥様らしき方にお願いして書き置きの御朱印を頂きます(普段は、前日に行脚を決めることが多く、また奥さんがいれば「御朱印持った?」と確認されるのですが…。この日は奥さんが出た後での外出で忘れ物大百科状態、御朱印帳がなかったのです)。ご丁寧な対応を頂き、無事、御府内も少しずつ進んでいます。
 そして下谷神社。拝殿で手を合わせ、ふと脇下を見ると「無断での昇殿禁止」「昇殿参拝出入り口」との立て札が。前者を見た時「え、上がれるのか!」と思ったのですが、後者を見て「やっぱり昇殿参拝しないと無理か…」と、一瞬の期待を消し去りつつ、境内末社のお稲荷さんにお詣りです。この日は、恐らく沢山のお稲荷さんにお詣りすることになるので「一日、同行よろしくお願いします」と勝手なお願いをして辞去。しようと思ったのですが、境内でお仕事中の神職さんに「龍画を拝見するのは、昇殿参拝しないと無理ですよね?」と伺うことに。すると「あ、大丈夫ですよー!中で断ってくれれば大丈夫です」と軽く、とても快いお返事が。「ラッキー!」です。この下谷神社、寄席発祥の地としても有名ですし、稲荷町と言う地名・駅名の由来にもなっている神社ですが、私にとってはなんと言っても拝殿の天井に描かれた横山大観による龍画が見たくて見たくて仕方なかったのです。しかし、賽銭箱前に立っても、右に立っても、左に立っても、拝殿を閉ざすガラスの引き戸に外の景色が反射して龍の「り」の字も見えません。これを概ね5年、繰り返していたのに…聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥そのもの。早速、社務所で「龍画を拝見したいのですが」と言うと、一葉の紙を渡され「中を良く読んでからお上がりください」と言われます。少し硬い物言いでしたが、由緒ある神社の拝殿に上がるのですから、それなりに気持ちが引き締まります。書かれていることは常識的な事が多く、写真は龍画のみOK、脱帽・脱上着の上、5分程度に抑えること、他人の迷惑や器物に触れぬことなどが書かれています。私としては常識の範疇。と言うか、龍画の写真がOKというのは望外の喜び!です。おずおずと靴を脱ぎ、拝殿に。整然とした拝殿内。そのまま顔を上げると、龍画はありません。「あれ?」と思って目を中央に送ると、拝殿中央の真上に大観の龍が飛んでいます。東玉川神社のように地面を意識するような画角ではなく、まるで中空を飛び回っているような絵です。広尾稲荷神社の龍画は高橋由一最後の日本画の大作で、雲を引き連れたように肺降りてくるような鋭い目が印象的ですが、こちらは、自由に伸びやかに空を舞っているような姿で、どれが一番だとか、そんな評価はしたくない、素晴らしい龍をまた見つけることができた喜びで一杯になってしまいました。ここで両方向参拝をすると金の龍も先導してくれると言うことで、金の龍に導かれながらお稲荷さんとデートという感じの行脚になります。
下谷神社 龍画

 そして、浅草寺。以前は「これが浅草?」と思うほど人が減った浅草寺ですが、この日はかなりの人出。そして、以前よりも遥かに日本人率が高くて、洋服に食べ物が当たる心配もせずにサクサクと本堂へと仲見世を通り抜けます。そして浅草神社・三社様へ。と、神輿殿が開いています。もうすぐGWなんですね、そして三社祭も近いからでしょう。立派なお神輿が並んでいます。被官稲荷にもお詣り。最近はパワースポットツアー風の団体さんに占拠されていることも多かったのですが、この日はお一方がいるだけ、のんびりとお詣りをして、待乳山聖天へ。
    浴油祈祷も二回目。段取りは判っています。まずは寺務所前でご祈祷の申込書の記入。所願と連絡先、祈祷料などを記入して「お守り」に○印。これとご祈祷料を持って寺務所の受付に出せば完了です。まだ午前中だったので、もしかしたら当日初日で祈祷依頼もできたのかもしれませんが、赤口の日曜日。できれば他の日をと思い、月曜日開始でお願いをしました。これで来週日曜日に受け取り可能です。そして大根を買い求めて本堂へ。ここも一時は2、3人しかいないこともありましたが、そこそこ混んでいます。というかディスタンスを取るためスペースはあるのです。が、自分の収まりの良いところを探すのがちょっと大変でした。そしてお詣りを終えると最近お気に入りのサクラモノレール(にこり)に乗って、下山!
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 モノレールを降りると、もう散り掛けの桜と並んで、もうハナミズキが。春も深まってきましたね。

 さて、ここで普段なら今戸神社へGO!と思ったのですが、その前に今まで行っていなかった神社2社があることがGoogle Mapで判っていたのです。そこで、まずは合力稲荷神社。
浅草 合力稲荷神社
ここは、地図で見つけなければ見つからない。小さな、街なかによくあるお稲荷さんです。が、合力の名に相応しい力石が鳥居の足元に置かれています。そこそこの規模の神社になら、普通に置かれている力石ですが、小さな神社では場所だけとって邪魔になるからでしょうか?まず、目にすることはありません。貴重な江戸の文化資料。大事に残してほしいですね。
 そしてもう一つは熱田神社。これは盲点でした。今戸神社からほど近くにある神社で、規模も立派なのですが、全く気づかずにいました。御朱印はないと社務所に書かれていたので(御朱印帳を忘れてきた身としては)ホッとして、参拝。でも熱田神社なのに…、天照大神なのに…、千木が縦方向に揃えられ男性神の神社風になっているのは少し不思議。
 浅草 熱田神社

 そしてフィニッシュに今戸神社。この日は今年初の夏日。暑いです。しかも、久々にリアル招き猫のナミちゃんはおらず。残念。でも、龍と出会えたのですから、佳き日、佳き行脚となりました。
今戸神社

 ご同行頂いたお稲荷様、ありがとうございました!😁